美術館に行くのが好き。
でも、たまに苦しくなるときがある。
例えばそこにあるのが可愛らしいネコの彫刻で、わたしはそれをなでたくなる。いや、そう考える前につい一歩踏み出しているかもしれない。
危ない、危ない。触ったら怒られる。
あるいは、ケースで囲われていてハナから近づけないか。どれだけピターッと接近しても、ガラスに鼻の脂をつけてくるくらいの腹いせしかできない。
なんだ、このツンデレめ!
こんな捨て台詞も時には出てきてしまう、それがわたしにとっての美術館。
でも、こんなわたしを受け入れてくれる子もいるの。
そう、札幌には!
パブリックアートと言うと、
アートを開放!
みたいなストイックなイメージもあるので、わたしにはうまく説明できない。
そういうのではなく、もっとざっくりお触りOKな感じがいいのだ。
札幌には、そういう子がたくさんいるのさ。
とにかく懐が深くて、広くて、甘えさせてくれるのは、モエレ沼公園。
かのイサム・ノグチが設計した公園で、遊具はもちろん、そこにある山も、池も、森も全部イサムがデザインした。
たまには、ああ、あの三角錐は本当に美しいな、なんてしみじみしたりもするけれど、たいがいは芝生でくつろいだり、本気で眠ったりしている。
この遊具は、くぼみのところにお尻を置いて、うねりに沿うようにして寝っ転がると、よしかかるにも、足を上にほうって投げ出すにもちょうどよく落ち着くんだよね。
子どもたちは、このうえを上手に駆け回って遊んでたけど。
モエレビーチもいいよね、いつも子どもたちで賑わっている。
次は石山緑地。もともとは札幌軟石の採掘所で、それが閉鎖されたあと、しばらくずいぶん荒んでいたらしい。
そこで立ち上がったのが、CINQという5人組の造形集団。
巨石がゴロゴロ。
カドが多くてとっつきにくいのかと思いきや、
こんなお花が似合うなんて可愛らしい一面も。
ジャングルジムは外から見てるだけでいいの?
いいえ、これがなかからの景色。
遊び方の手引きなんて何もない。でも、子どもたちは(時には大人たちも)ものすごく無心になって遊んでいる。
ちなみに、夜がまたいい。真っ暗で、しんと静まり返っていて、こちらが物音をたてると岩肌に反響してこだまが返ってくる。やみつき。
札幌芸術の森・野外美術館は、お触りOKアートの聖地!
朝倉響子が生んだ美女たちとベンチに相席とかできるし。
ちょうど雨が降ったあとだったので、顔が汗ばんでて、ちょっと走ってきたあとみたいだけど。
佐藤忠良の造る子どもは、いつもかわいくてなでるのガマンしてたけれど、ここぞとばかりになでなで。
本郷新の作品は、東京でもいい感じにしばしば野ざらしにされている。出会うたび、お触りさせてもらっている。
ああ、いろいろなでなでしたらストレスが抜けてったわー。
ふれあい満喫。
(teamまめ/信藤舞子)
ふれあい満喫。
(teamまめ/信藤舞子)
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