2014年2月26日水曜日

さあ、心の赴くままに! 触りたくなるアート~彫刻編~

美術館は好き。でも、すてきな作品に胸キュンして触れたいと強く願っても、大概それは叶えられない。想いはいつも一方通行なのだ。片想い。

対して、より近しい関係を築けるのが、以前「お触り歓迎! さっぽろの野ざらしアート」にも書いたパブリックアート。
毎日通る道の傍らに。はたまた、よく使う駅の広場に。歩くスピードをほんの少し緩めるだけで、たくさん見つけることができる。


野ざらしアートに多いのは、やはり彫刻。
なかでも触れたいという欲求をそそられるのは、佐藤忠良さんの作品だ。フォルムといい、表情といい、触ると柔らかいんじゃないか? と錯覚してしまう。
初めて訪れる土地で、遠目に見ても「触りたい!」と思い、引っ張られるように近づくと忠良さんの作品だった、なんてことが多々ある。

佐藤忠良「人魚」
(西武渋谷店)
佐藤忠良「牧神」
(西武渋谷店)

実際、この「人魚」のウロコはナデナデするとおもしろい。
ひだの細かさや尾っぽ全体のゆるやかな曲線を触って確かめることができるなんて、たまらない。


多くの忠良ファンがイチオシに挙げる「冬の像」。かくいうわたしもそう。
けれども、この像は同じタイトルの作品が複数存在している。ポーズや、着ているコートは同じなのだが、顔つきが違う。

佐藤忠良「冬の像」
(京王井の頭線永福町駅)

わたしが最も惹かれるのは、永福町駅の構内に佇む「冬の像」。
こんな女性が現実にいたら、そしてわたしが男性だったなら恋してしまうに違いない(一説によると、忠良さんの娘で、女優の佐藤オリエさんがモデルだとか)。
ああ、抱きつきたい衝動に駆られる。


佐藤忠良「冬の像」
札幌芸術の森美術館


ちなみに、こちらは札幌にある「冬の像」。永福町のほうが目線が上向きなのに対し、こちらは伏し目がち。
交差している腕も上下が逆になっている。

本郷新さんの作品もあちこちで見つけることができる。
さらに、同じ作品を違う土地で見つけると、なんだか時空がつながったような不思議な気分にさせられる。
本郷新「鳥の碑」
本郷新記念札幌彫刻美術館
本郷新「鳥の碑」
(玉川タカシマヤ)
後ろに回ってみると、背中までしっかり包帯らしきものでぐるぐる巻き。
ぐるぐる巻きの状態で野ざらしにされている姿は、少し気味悪くもあり、その場にある違和感というか、背景とのギャップが迫力大。


一方、その場に違和感なく馴染んでいるのがこちら。これはもう隣りに座らない手はない。お二人ともスタイルがよく、かなりの美人さん。
朝倉響子「ふたり」
札幌芸術の森美術館

朝倉響子さんが生み出す女性は、みんな美しい。そして、少しだけ気が強そう(でも根は優しそう)。
朝倉響子「Woman」
(町田駅東口カリオン広場)

ちなみに、響子さんのお父さんは、かの朝倉文夫さん。
朝倉親子の作品は、どことなく似た空気が漂う。その空気をダイレクトに味わえるのも、ガラスケースやロープに囲まれることなくむきだしで展示されているからこそ。
朝倉文夫「太田道灌像」
(国際フォーラム)

さて、こちらのベンチには先客が。
作者の黒川晃彦さんは、過去にみうらじゅん氏がMCを務めていた『シンボルず』という番組に登場している。代表作品の通称「裸サックス」がフィーチャーされていたのだ。
黒川晃彦「小さい花」
(春日部駅東口)

「お隣、どうぞ」と言っているような気がする。お触りだってOKよ。

なんて、そんな気さくなアートは、あなたのすぐそばにあるのだ!


(teamまめ/信藤舞子)