2020年2月18日火曜日

地方の渋い映画館が好きだ! 100余年の歴史ある上田映劇へ




     『パラサイト 半地下の家族』が第92回アカデミー賞 オスカー受賞! 
     アジア初の受賞という快挙、本当にすばらしい。
     さらに、日本では毎日映画コンクールの受賞作品発表があり
伊勢真一監督の新しい作品
『えんとこ の歌 寝たきり詩人:遠藤滋』がドキュメンタリー賞に輝いた。

     「オスカー」と「毎日」じゃスケールがちょっと違うかもしれないが、
     映画のホットな話題が続いている。

     無類の映画好きだが、ドキュメンタリー映画贔屓で、
巨大なシネコンよりもミニシアターが好きだ。
     と同時に、地方にある地方ならではの映画館が好きだ。
     シネコンに客を掬われつつも、運営側も観客も映画館を守ろうとしていて
     古くて渋く、一見寂れているようだが、なんのなんの、めっちゃ熱い。
     そんな熱い映画館で映画を観ると、映画っていいなあと東京にいる時より
     もっと深く感じられるのだ。

     長野県上田市には、上田が誇る『上田映劇』がある。


えっ?浅草?  雷門ホール? 

写真間違えて貼ってるんじゃないか! と思われるかもしれないが、
 ここが、上田映劇のメイン外観だ。なんで「浅草」かについては、のちほど。

入り口。木枠にガラス張り、白いカーテンがなんとも良い風情だ。







270席1ホールが、どーんとあり、意外に大箱。
舞台になっているので、芝居や演芸もやる。



見上げると格天井が! 
関東大震災で消失する前の東京・帝国劇場の天井を同じデザインだという。
立派だ。

もともとこの場所は昔から上田の娯楽の拠点で、
明治時代には芝居小屋「末広座」があった。
そこに上田映劇のルーツ「上田劇場」が誕生。
1917年(大正12年)のことだ。歌舞伎もやったんだって。
時代は流れて、シネコンが誕生し、2011年に定期上映の映画館としては
一旦幕を閉じることに。しかし、上田映劇を愛する人たちは、
朽ちていく映画館を放っておかなかった。
NPOも立ち上がり、2017年に定期上映が再スタート!

で、なんで浅草か?
実は、上田市は、自然あり昔の街並みあり温泉もあり、
映画のロケ地として市をあげて歓迎していて、
映画人の中ではかなり評判が高い。

2013年に上田で撮影された『青天の霹靂』(劇団ひとり監督・大泉洋主演)では
昭和40年代の浅草を再現したのだが、その時に上田映劇を使って
「雷門ホール」のセットを設えた。それがこれで。
今もそのまま残しているというわけだ。



緞帳は、主演の大泉洋がプレゼントしたのだろうか?



映画を観た後は、余韻に浸りつつ上田の街をぶらっと歩く。

セットなのか、本物なのか。判断に困るような店に遭遇した。




上田に来たなら必ず立ち寄りたい『みすゞ飴本舗』の本店へ。
本店でしか買えない限定のゼリーを自分へのお土産に。



  さらにぶらぶらしていると、こんな直売所に遭遇。



          上田いいところ。映画にやさしい。人にも猫にも、やさしい。

                                by 松井一恵