2013年3月12日火曜日

似ているようでやっぱり違う、韓国人の結婚式〜前編〜

お世話になった方の結婚式へ出席するため、韓国に行ってきた。
韓国での結婚式出席は二度目だったけれど、今回は花嫁家族のご厚意で親族の近くにいさせてもらい、単なる「招待客」ではない慌ただしさも感じる貴重な時間となった。

花嫁のジヨンちゃんは、私の韓国語の先生の妹さんで、留学時代には定期的にご飯に誘ってくれたり、お盆に食べる特別な料理を作ってくれたり、台風が来るから気をつけてとメールをくれたり、年下なのに姉のように母のようによくしてくれた人。
最後に会った時は「結婚? 諦めました」なんて言っていたのに、久しぶりに受け取ったメールで「恥ずかしいんだけど、私、結婚することになりました」と! 
なんなんだ、その急展開。
そして数週間後には招待状が届いた。


招待状には日本と同じく、新郎新婦の名前(続柄付き)、ご両親の名前、結婚式の日時、会場案内図が記されている。









日本同様、結婚式当日の花嫁は忙しい。
ジヨンちゃんの式は15時からだったが、支度のため朝早くに家を出発。
日本同様、普通すべての結婚式場には衣装室とメイクアップ室があり、花嫁はそこでドレスに着替え、化粧をする。(家族もいっしょにしてもらう場合もあり)
だけれどホテルはもちろん、キリスト教信者の多い韓国では教会で結婚式を挙げる人も多いため、結婚式用のドレスを扱い、ウェディングメイクをしてくれる専門店も多く存在。ジヨンちゃんはたまたま結婚式場で用意されているドレスがあまり気に入らなかったため、そのような専門店で別に準備を進めたのだとか。
最近の若者は、そんな風に結婚式場とドレスやメイクを別々にする場合も多いそう。


ジヨンちゃんがいきなりどこからか現れた。
後ろの方は、一日中ジヨンちゃんについていてお世話してくれた介添人。













簡単な化粧直しも、この方がしてくれる。








到着後は「待機室」という名の控え室に移動。文字どおり、式が始まる直前までこの部屋で待機する。
とはいっても、この日の主役。お祝いに来てくれた招待客は会場へ向かう前にここに立ち寄り、花嫁に声をかけていくので、それに応え、いっしょに写真を撮るなど、休むヒマはない。

その頃受付近くは……。
一日に何組も結婚式を挙げるため、前の結婚式の招待客なのか、ジヨンちゃんたちの招待客なのか見分けがつかない。


招待客の服装は、日本よりカジュアル。
ジーンズにキャップという方もちらほら見かけた。
受付は新郎と新婦を左右で分けて。
ここで新郎と両家のご両親が招待客を出迎え、
あいさつをする光景は日本と同じだが、
ご祝儀袋の文化は日本と大きく異なる。

受付横にご祝儀袋が用意され、招待客はその場でお金を包み、渡す。

(事前に用意しても、もちろん大丈夫)


金額は友人なら3万ウォンが一般的。親しい度合いで5万ウォンへと上がり、親戚になると10万ウォンということもあるらしい。
食事は式場内のバイキングが多く、引き出物の風習もないことを考えれば、妥当な額なのかもと思える。
※ウォン×0.088で円に換算(2013.3.12)
式が始まる前のホール。


韓国人の結婚では、欠かせないのがウェディング写真。
たいてい式の約1ヵ月前に前撮りしたものを、結婚式当日は受付やホール入り口に「見て見て!」と飾る。
芸能人やスポーツ選手などのウェディング写真を、見たことはないでしょうか?
どこからそのポーズを? そのシチュエーションを? と感心するほど、一般人をも映画俳優のごとく美しく撮影するカメラマンの腕!!
新郎新婦が最も気合いを入れる結婚準備の一つなのだとか。
「アルバムは、結婚後に何度か開いただけねぇ」な日本人と違い、韓国人は結婚後も新居に自分たちの写真を飾り、遊びに来るお客を出迎える。
韓国人の写真好き、撮られ好きな性格がよく出ている面だと思う。





ジヨンちゃんも例にもれず、たくさんの写真を飾っていた。
撮影、大変だっただろうなぁ。
そして再び待機室に戻ると、
新郎新婦でパチリ。




家族でパチリ。


友だちとパチリ。
“自分撮り”が上手で好きな、韓国人らしいひと幕。



そしてついに、式が始まるためホールへ移動。


ジヨンちゃんのお姉さんたちが飾りつけていた、ホール入り口横の写真コーナー。

ペンが添えられたこの写真には、招待客が思い思いにメッセージを残す。

両家のお母さん、新郎、新婦&新婦のお父さの順に整列し、


まずはお母さんたちが手をつないで入場。
次に新郎、
最後に新婦とお父さんが続く。
  


まずは主礼(ジュレ)が待つ祭壇の前で一礼。














主礼とは日本で言うところの「媒酌人」で、新郎新婦どちらかの恩師に依頼することが多いそう。最近では、適任者がみつからなかった場合に斡旋してくれる「主礼協会」なるものも存在し、そこを通してお願いすることもあるとか。
ジヨンちゃんの主礼はどなただったんだろう……。

この後、新郎新婦が結婚の誓いを交わす「誓いの言葉」、二人が晴れて夫婦になったことを宣言する「結婚宣言」が行われ最後に主礼からお祝いの言葉が贈られた。
(この後一般的には「指輪の交換」があるが、ジヨンちゃんはすでに指輪をはめていたのでなかった

会場正面の左右には、新郎新婦を映す大きなスクリーンを設置。





続いて、これも韓国の結婚式ならではの「祝歌(チュッカ)」。
たいてい新郎の後輩(男性)にお願いするらしいが、招待客の前で二人をお祝いする曲を歌う、日本でいう余興? のようなもの。韓国には愛を語る曲が多いので選曲には困らなさそうだ。

実は式の最中、私の後ろの席からずっと鼻歌が聴こえていた。ずいぶん陽気な人だけどうるさいなぁと思っていたら、この鼻歌男(失礼!)が祝歌を熱唱したカレ。
祝歌のできが不本意だったのか、歌い終えた後は「祝歌席」というこの席でうなだれていた……。

ついに式はクライマックスへ。
最後は、両家の両親へ新郎新婦からのお辞儀で締める。
新郎はひざをついた「クンジョル」という最も深いお辞儀、新婦は90度のお辞儀で、新婦の両親→新郎の両親へと感謝の気持ちを贈った。



日本だと花束贈呈にあたるのかな。


この後、新郎新婦が退場。
日本と違い、食事はもちろん、スピーチや余興を交えながらの宴ではないため、式自体はあっという間。30分ほどで終了となる。

退場した二人は再度呼び戻され、ここからは怒とうの写真撮影会。
まず主礼と。
親族と。
両家それぞれの家族と。

そして友だちとの撮影には、私も参加。
結婚式に行くねと連絡した時から、「じゃあ、せっかく日本から来てくれるんだから、ブーケを受け取ってください」とジヨンちゃんが言ってくれていたので、この日の私には大切な任務があった。
韓国では友だちとの写真撮影を終えた後にブーケトスが行われ、ブーケを受け取る人はあらかじめ決められている。ひと昔前までは結婚を控えている人に受け取ってもらっていたらしいが、最近では、私のようなそんな気配がない人に「いいご縁がありますように」と受け取ってもらうケースが増えたそうだ。

カメラマンさんの「はい、みなさん盛り上がって〜」の声をきっかけに、友だちが拍手で盛り上げてくれるなか、ジヨンちゃんが後方に向かって投げたブーケを無事受け取ったのがこちら。

「韓国ではブーケを受け取るといい縁に恵まれると言われているんですよ。
お姉さん(=私)がいい方とめぐり会えますように」
とメッセージをくれた。
ジヨンちゃんの気持ちに涙。

先生やジヨンちゃんは、「韓国の伝統的な結婚式じゃないけど……」と言っていたが、それでも私には異文化。
結婚式だけでも日本と似ているようで少しずつ異なる点が多く、(私が思う)韓国人らしさが所々ににじみ出ていて、とても新鮮だった。

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一度に書こうと思いましたが、ちょっともったいない気もするので、結婚式後に執り行われた伝統的儀式は次回レポートします。
今回より、戸惑い、驚きが多いはず……です。

(teamまめ/阿部真奈美)