2013年9月25日水曜日

京都、お酒の神様に本気で祈る。

京都にやってきた。
前々から行きたいと思っていたところがある。
中心地の河原町から嵐山方面をめざして、バスで40分ほど、
松尾大社である。


創建は701年のこと。
でかでか立派な大鳥居の柱には「平安京遷都千二百年記念」の文字。
教科書のなかでしか意識しないような歴史の世界が、ここ京都という町にはフツウに根付いてる。
ぐんぐん歩を進める。
二の鳥居には枯れた榊の束が吊るされていた。
なんでも太古からの風俗で、月々の農作物のでき具合を占った「脇勧請」というものだという。
赤い鳥居の上部に、榊を小枝を束ねた「脇勧請」。束は12本あり、月ごとの農作物のでき具合を占ったことによる。原始的な鳥居の形を残している。


なぜ、松尾大社に来たかったかというと、
お酒の神様なのですよ。
こちらは室町時代末期以降、「日本一の醸造の祖神」として仰がれている。
酒造メーカー、酒屋、杜氏、それに醤油や味噌の醸造元からの信仰も厚いのだ。
手水舎には亀が。松尾大社では、亀は神のお使いである
本殿の前に位置する拝殿。お神楽や念仏踊など神事のほか、イベントなども行われる。

 その歴史をひも解くと、
そもそもは、5世紀頃、朝鮮半島から渡ってきた渡来人の秦氏が、この松尾山を一族の氏神として信仰をしたことに始まる。秦氏は酒造りを特技とし、酒造技術にすぐれた技能者も多くいたことから、酒造関係者の信仰を集めるようになった。
ちなみに松尾大社の祭神は、大山咋神(おおやまぐいのかみ)。
一瞬「ぐいのみ!?」と読める。(私だけ?)
神輿庫(みこしこ)の前には全国の蔵元から献上された酒樽が積まれる。……あ、飲みたい銘柄を次々発見。

その脇には、杉玉が。杉玉は、もともとは神様に感謝を捧げるものだったとされる。


















神様に心をこめてお参りをする。



死ぬまで楽しくお酒が飲めますように。
この先何度も乾杯ができますように。



本気のお祈りをすませたら、
本殿の裏手、北側へ。
ここには霊亀の滝が流れ、亀の井という霊泉がある。








あたりはひんやり涼しい気に包まれて、霊験あらたかな雰囲気。




お酒の神様にあやかって、こちらの亀の井の水を、酒造りの元水として造り水に混ぜて使うところもあると聞く。
延命長寿の水としても有名で、汲みに来る参詣者も多い。

お守りも、また酒づいている。
私が受けたのは、「服酒守」。つまり、飲む人用のお守り。

ほかに、売る人用の「販酒守」、お酒を醸す人用の「醸酒守」がある。

境内には、酒の資料館(入館無料)があり、展示とともに酒造りの流れや精米などの説明がなされている。年代物の徳利やお猪口などの展示も興味深い。
酒の資料館、館内には昔の道具がいっぱい。

ラベルのデザインっておもしろい。ロゴも独特でいいなぁ。

「視界の端に人影!?」と思ってギョッとしたら、マネキンでした。。。

「服酒守」を手に入れて、意気揚々。
日が暮れはじめたら、京都のバーめぐりを始動だ!

1918年創業の「京都サンボア」、一度は行ってみたい「祇園サンボア」、
バーのことを訊ねると京都人がそろって名をあげる「K6」、
文久年間創業の花屋さんがひっそり営む「文久」、先斗町と木屋町を結ぶ隠れ家の横丁、13番路地に潜む、名バーが数店。
行きたい店はあれこれ。飲んでみたいお酒もあれこれ。
大丈夫。お守りがあるもんね。
年期が入り、風格漂う京都サンボア。ハイボールは、銀座や神戸とは異なり、竹鶴12年を用いた氷あり。



―翌日。
目が覚めてそうそう、軽くえづいた……。
あ、昨日飲んだのは蒸留酒だからか!
醸造の神様、範疇外なのですね。

……戯言はたいがいにして、これからも楽しくお酒と付き合っていけたらと思う。


(沼 由美子/teamまめ)