大阪に住む姉夫婦によれば、かなり観光地化された新大久保と違い、生野は人々の生活の匂いが感じられるとか。
一度焼き肉を食べに連れて行ってもらったことしかなかったので、じっくり歩いてみることにした。
まずは生野区内にある、こちらも韓国色が濃厚で知られる「鶴橋」へ。
近鉄線、JR、大阪市営地下鉄が走る鶴橋駅周辺は細い路地がいくつも走り、総店舗数800、6つの市場や商店街からなる「大阪鶴橋市場」と呼ばれている。
韓国料理、韓国食品、青果、鮮魚、生活雑貨、民俗衣装などの専門店が軒を連ね、「市場」と呼ぶのがふさわしい活気だ。
トウガラシは粗さの違うものが数種並び、蒸し豚は塊のまま豪快に。寝具も日本にない華やかな色みのものが重なる。
クロネコヤマトのお兄さんがいなければ、韓国の市場と言われても信じてしまいそう。
市場内に設置されていたマップを眺めていたら、おじさんに声をかけられた。
生まれも育ちも鶴橋で、長く市場内で革製品やバッグを販売しているというおじさん曰く「今はだいぶ観光客が多くなったんやで」と。
戦後の闇市が起源の市場は、現在店主が2代目、3代目に代替わりし、韓流ブームの影響もあり、観光客向けの店も増えたとか。
今回の目的の一つだった「珈琲館 ロックヴィラ」へ。
ここの有名な食べ物が……
「キムチは何にでも合う」と考えた店主が作った、今や鶴橋名物の大本命。
マヨネーズとキムチの酸味が、意外や意外よく合う。水分が抜けたようなキムチの食感と、瑞々しいキュウリの食感の対比も楽しいのだ。ほかのお客さんの注文もほとんどがこれ。お持ち帰りも人気だった。
まずは目的を果たし大満足。
駅から徒歩約10分のところにある「生野コリアタウン」へも足をのばしてみた。
「千日前通り」という大通りを鶴橋駅を背にして進み、「玉津3」交差点を右折。
近鉄線の高架下を抜け、3つ目の信号を左折した
「桃谷(ももだに)3丁目」周辺が「生野コリアタウン」だ。
「御幸(みゆき)通り」を含む300mほどの通りに約150軒の店が集まる、日本最大規模のコリアタウン。
その一方で、
キムチ店の前には人だかりができており、
鶴橋市場は、定番の白菜、大根、キュウリのキムチが主流なのに比べ、生野コリアタウンはミョウガやヤマイモ以外も、セロリ、レンコン、キャベツ、ゴボウなど、変わり種が多く目についた。
再度鶴橋駅前に戻り、この日の大阪は最高気温32度もあったため、韓国のカキ氷「パッピンス」で休憩をした。
「韓流カフェ 茶母(たも)」は韓国の伝統茶やスイーツがウリ。カフェといいつつ、店内で作っている純豆腐(スンドゥブ)を使い、しっかり食事ができるメニューも充実している。
「ミスカル」とは、大豆や麦、玄米などを粉状にしたもので、韓国ではお湯や牛乳で溶いて飲む栄養ドリンクとして親しまれている。私の舌にはきな粉とまったく同じだが、韓国人の友人に聞くと、香ばしさがまるで違うらしい。
小豆と練乳の甘さが疲れを癒してくれた。歯切れのいい韓国餅も氷で冷えて、さらに弾力を増していたような。
生野コリアタウンで買ったキムチ2種に、甘鯛、ホバッ(韓国カボチャ)、シイタケのジョン(チヂミ)でこの日の食卓が豪華に。ごちそうさまでした。
行く前までは、駅周辺に栄えた鶴橋市場が観光地化され、生野コリアタウンの方がまだまだディープ感が残っていると予想していたが……
(私が見た感じ)それが逆だったことに驚いた。
まだまだ歩き甲斐のありそうな、鶴橋市場に生野コリアタウン。
また絶対に行こうと思う。
(阿部真奈美/teamまめ)
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