2013年1月16日水曜日

バー オーク 東京ステーションホテル : 生まれ変わったバーと変わらぬもてなし



2012年10月、東京駅丸の内駅舎の「東京ステーションホテル」が、6年をかけた復原工事を経てオープンした。1915年(大正4)に開業した歴史あるホテルは、空襲で焼失したドーム部分や屋根など、1947年に再建される以前の元の姿を取り戻した。


改札を抜けた先のドームには、すぐに客室の窓辺があり、まさに駅舎と一体のホテルである。
生まれ変わったドームもとてもエレガントだ。

なによりも心待ちにしていたのは、バーの再開である。

そこには、御年72歳、半世紀ものキャリア(!)を持つバーテンダー、杉本壽さんがいる。




初めて杉本さんのカクテルを口にしたのは、工事に入る2006年のことだった。
こじんまりした「バー カメリア」はすでに相当年季が入っていて、“クラシックホテルのクラシカルなバー”であることを裏切らない艶を帯びていた。

 
ステンドグラスの窓のすぐ向こうには、中央本線、京浜東北線、山手線、東海道線といった見慣れた電車が走っていいるのが揺らいで見える。発着の度に電車の音が聞こえたけれど、バーの中はぽっかりと浮かんだ別世界のようで、それが現実味を帯びたものに思えなかった。


シェーカーからぴったりおさまるよう注がれたカクテルは、ほの暗いカウンターの上でほんのり光を放っているようにも見えた。


現在、杉本さんはメインバー「バー オーク」のチーフバーテンダーに就任され、今も現役でシェーカーを振っている。「カメリア」はバー&カフェとして生まれ変わり、以前よりはだいぶカジュアルな雰囲気である。
再開から3か月が経っても杉本さんに会いに来店するお客も多い。平日でもバーは賑わっていてそうお話を聞くことはできなかったが、注文したカクテルはすべて氏が作ってくれた。

東京駅というカクテルは今から23年前の開業75周年を記念して作られたもので、赤レンガ色をイメージしているという。
タンカレーとスーズというハーブのリキュールが使われており、その頭文字「T」と「S」が「Tokyo Station」に掛けられているというから心にくい。グレナデンシロップの果実味が広がり、女性っぽい印象。
対して、マティーニは記憶していたより相当にドライな男味だ。


東京駅は、「東京ステーションシティ」という駅全体を街としてとらえる構想のもと、今も変わり続けている。
2014年には常磐線、東北線、高崎線が東京駅まで延び、年度末までには北陸新幹線も金沢までつながる予定だ。
ますます東京の玄関口、旅立ちの場として存在感を放つ東京駅。
旅人を出迎え、見送るバーの存在もいっそう貴重な安らぎの場になることだろう。
たとえ旅に出なくたって、この空間に身を置くひと時は日常からぬけ出す小旅行みたいなものなのだけど。

(teamまめ/沼 由美子)
※写真は許可を得て撮らせてもらいました。

<バー オーク>
東京都千代田区丸の内1-9-1
東京ステーションホテル2F
03-5220-1114
17時~23時30分LO
無休
カクテル1100円~、ビール950円
サービス料10% チャージ無し










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