やってきました、くいだおれの大阪。しかし、今日はくわずに飲むぞ。
大阪出身のわたしが、帰省して家よりも先に寄る酒場をご紹介。
というわけで、大阪城からマラソンランナーならば走って10分ほどで
東京の中央線のお下がり車両との噂があるオレンジ色の環状線なら
森ノ宮駅、玉造駅、その次の鶴橋駅で下車。
近鉄鶴橋駅東口からすぐ、鶴橋卸売市場の細い筋に、めざす酒場がある。
店名は、「海の家 鶴橋」。
海なんて、言うまでもなくどこにもないのに、なんで海の家なんや!
と、ここは大きくしっかりとつっこんどきましょう。
古い看板が物語るようにこの建物、かつてはちりめん雑魚の卸売店「紀乃國屋」を営み、
ちりめん雑魚やかえり雑魚など海産の乾物の倉庫を兼ねていた。
なので、一歩入りると、ぷ〜んと磯の香りが、今もなおするのだ!
昔の木材などをうまく活かした外観、内観で、ええ味漂ってまっせ。
磯の香りがするから「海の家」なのだろうけれど、
店主もスタッフもサーファーだというのも理由の一端だろう。
ドアは小さく、猫背になってくぐる。店内はカウンターだけで、10人も座れば満杯に。
昭和な感じというか、田舎の小屋の中にいるみたいというか、妙に落ち着く。
サーフィンをするついでに仕入れるのか、仕入れのついでに波に乗るのか?
奄美大島などに出かけ、蔵元から直接仕入れてくる焼酎がおもしろい。
名付けて「今回の旅の酒達」。それが、ロックでも水割りでもお湯割りでも
はたまたストレートでも、ニンマリするほどなみなみと注がれる。
つまみの定番は、なんと言っても海産乾物だ。
ちりめん雑魚、かえり雑魚、干しエビ、うるめなどがあり、適当に盛り合わせでもOK
カルシウム&タンパク質が豊富ですばらしいアテだが、痛風さんはご用心?
焼酎のほか、泡盛も日本のウイスキーもあるが、最近は日本酒も1銘柄常備する。
この日は奈良・油長酒造「風の森」のシュワシュワうす濁り。
外の席もなかなか気持ちがいい。
外といっても風景のいいオープンエアとは違い、市場の中。
夜の市場の静けさが、渋い。
チャージなし、酒はビール500円、焼酎600円〜と、懐にやさしい。
そして、飲んでいると海の近くにいるような、いい気持ちになる。
「海の家 鶴橋」大阪市生野区鶴橋2-3-13 18時30分〜26時くらいまで 不定休。
(2018.3.14記 松井一恵)
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