その瀬戸内に日生(ひなせ)と呼ばれる、瀬戸内の小さな漁村がある。
今の季節はカキの最盛期で、大粒カキをどっさりお好み焼きに入れてしまった
「日生カキオコ」なるB級グルメが人気の町だ。
そんな町に、日本で唯一と言われる『BIZEN中南米美術館』がある。
なんでそこに行きたかったかといえば、ここには“ペッカリー”さんがいるからだ。
この美術館、個人のコレクションから始まったというが、
思わず頬をゆるますツワモノどもの巣窟だ。
人物象形土偶。愛らしさに見惚れて、 どこのお方かをメモるのを忘れてしまった。 |
「どすこい!」と言ってそうな人物象形土偶。 コロンビア北西地域で発掘された、 300~1000年のキンパヤ文化時代のもの。 |
ね。ユーモラスでしょう?
もともとは、ここ日生で漁師さんたちの漁網の製造・販売を営んでいた、
故・森下精一氏が集めたもの。
南米各国へ商用で出かけたときに、古代アメリカの文化に触れ、魅力に取りつかれ、
ついには蒐集を始めてしまったのだそう。
中南米10カ国を巡るなかで、土器、土偶、織物、石像など、収蔵したのはなんと、約1800点!
しかも、鑑定してもらうと、どれも学術上でも美術史上でも、貴重な数々と判明。
そこで、昭和50年に美術館として、一般に公開することになったそうだ。
壺。ちゃんと取っ手もついてて機能的だ。 ほ、ほ、ほしい・・・。 |
自由すぎる発想に胸ズキュン。 |
童話の世界のよう。いきいきしてるなぁ、表情が。 |
「あぁ。いつもなら、2階の隅で居眠りしているんですけど、
本日は出張しておりまして・・・・・・」。
と、申し訳なさそうな、スタッフのお姉さま。
なんと・・・間の悪いこと・・・。 自分の不運を嘆くばかりだ。
ちなみにペッカリーさんとは、こちら↓
アンデス文明の北で栄えた、チョレーラ文明(1200BC~200BC)時代の
ヘソイノシシという、豚の仲間なんだとか。
現在のエクアドル海岸部あたりでは、地震や火山の噴火も多くて、動物を神と崇めながらも、
共に生きる仲間として、土偶を作り、慈しんだそうだ。
そのとぼけた表情にみなが心をつかまれて(?)
2年ほど前より、日生カキオコの守護神にも任命されたという。
最近では、ゆるキャライベントにも引っ張りだこの様子で、多忙のようだ。
とはいえ美術館では、巨大コテをもつストラップや、ぬいぐるみ、絵本、
果てはかりんとうまで販売。
ぺっかりーさんには会えなかったけど、ペッカリーさんの愉快な仲間たちには、
た~んと出会える楽しい場所だった。
いつか、本物のペッカリーさんに会えることを願って!
(teamまめ/佐藤さゆり)