日本史の教科書で、この名前のそばにある言葉は「立てこもり」「降伏」。なんだか、かっこ悪い。
明治維新だよ、開国だよ、新しい時代の幕開けだよ、というときに、いやだ、いやだと駄々をこね、旧幕府の海軍をつれて北海道に敗走する。
そして、函館五稜郭に「立てこもり」、でも結局は戦になってしまい、「降伏」する。
教科書にある情報だけでは、こんなふうに読めてしまいます。やっぱり、かっこ悪い。
でも、実は北海道では、それも、特に小樽では、榎本武揚といえばヒーローなのです!
というわけで、榎本武揚の“その”後。“その”は、上記の戊辰戦争のことです。
先の戦では、こんなことになってしまったけれど、なんやかんやで、榎本は死罪を免れます。
そして、改めて北海道にやってきました。今度は、北海道開拓使として。
榎本は、イクシベツ(三笠市幌内周辺)や、空知川沿岸などの石炭調査を行ないます。
すると! 炭鉱が発見され、産業が発展し、ついには、炭鉱地から小樽のほうまで鉄道が敷かれることに。当時は、札幌なんかよりも、小樽が栄えていたのです。
つまり、いまの小樽が、ひいては北海道があるのは、榎本武揚のおかげ。
クラーク博士より、だんぜん、榎本武揚。
小樽には、榎本武揚が造った神社があります。 JR小樽駅からほどちかい龍宮神社。
明治9年に、アイヌ民族が祭場としていた御鎮座地に、桓武天皇を合祀して、移民が安心して暮らせるよう「北海鎮護」を祈願して建立しました。
ここに、榎本武揚像があります。左手に海の国際法『海律全書』を持ち、右手には羅針盤。傍らに、巨大ないかりも。学業成就と、航海安全にご利益があるそうです。
「北海鎮護」の碑。榎本武揚が書いたそうです。よい字。やさしい人のような気がします。
御朱印をいただきました。神主さん、敷地内の空手教室で子どもたちを指導中だったところ、社務所まで走って戻ってきてくれました。
街なかには、旧国鉄手宮線の廃線が残されていて、遊歩道になっています。ずっと向こうまで、すーっとのびていくのを見るのは、とても気持ちがよいです。
これも、榎本武揚のおかげで、敷設されたものなのでしょう。
中心街では、垂れ幕で、榎本武揚による小樽弁(というか、北海道弁)講座が開かれています。
●あずましい(なごむ、落ち着く)
●いいふりこき(見栄っ張り、かっこつけ)
●はっちゃき(夢中、必死)→はっちゃきこく
のような感じで、使います。
(わたしも北海道出身なのです。「だべ」はあまり使わないけど、これは使います!)
ブヨウさんがはっちゃきこいて、ときには、いいふりこいて、礎をつくってくれた北海道は、本当にあずましいですわー。
(teamまめ/信藤舞子)
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