2020年12月4日金曜日

温かみあるタッチが心に染み入る版画家、臼田ひとみさん



 先日ご紹介した作家、木城圭美さんのご友人でもある臼田ひとみさん。ご紹介いただいた時に、このアマビエの作品のハガキをいただいて、とても印象に残っていました。



神々しくてチャーミングで、ご利益がありそうな(笑)。。。

そんな臼田さんの作品が展示されているというので、栃木県版画協会作家展2020(10月15~20日に東武大田原店にて開催されていました)へ足を運んできました。

彼女が拓版画と出合ったのは、2015年の頃。坂本富男氏の個展で拓版画に出合い、坂本氏に師事したのが製作のはじまりだったそうです。



今回の展覧会で出品されていたこちらは、「星屑の春」という作品。澄んだブルーが見ていると吸い込まれそう。





こちらは、「仲良し」という連作。「輝く太陽を背に、一輪の花と一匹の昆虫が仲良く寄り添う作品」なのだそう。よーくみると、椿にはてんとうむしが、チューリップにはミツバチが寄り添っていたんですね! 言われるまで、気づきませんでした^^; 
しかし、構図といいテーマと言いどこか茶目っ気が漂っていて、そこに惹かれます。



こちらは「前進」(赤)。のっしのっしと歩く象がこちらに向かって飛び出してきそう。臼田さんによると、「伊藤若沖の『象図』からインスパイアされた作品で、朝日に向かって前に進む力強さ、ポジティブな姿を表現」されているんですって。
なるほど~。



こんなふうにカラーバリエーションが揃っているのもインパクト大です! そもそも拓版画が木版画と何が違うのかというと、絵の具を直接版木に付けないということ。そのため、こうした色違いの作品も作りやすいのだとか。




こちらは、展覧会のものではないのですが、色違いのバリエーション見本。どこか日本画のエッセンスを感じさせつつも、モダンで斬新、素敵です!




あえてゆっくりゆっくり線がギザギザになるように彫り進めているのも、臼田さんの作品の特徴。丸刀を垂直に刺すようにして彫って、この味わい深い線を表現しています。


こちら臼田さん。大学では化学を専攻し、理系の仕事をされていたそうで、まったくの専門外の経歴で驚き。ですが、美術がお好きなお母さまが家で日本画を描かれていた影響もあって、小さなころから日本画や芸術に触れる機会が多かったとか。

「人の手で彫って、摺って作られたという温もりを感じられるようにし、「線」「面」「彫り跡」にこだわって作品を手掛けています。少しでも作品に触れた人が元気になれたり、癒されるようなものを作りたいです」とのこと。臼田さんの人柄が伝わってくるような作品に、癒されるひとときでした^^

2021年の1月31日~2月4日には、第5回日本拓版画会展(栃木県総合文化センター)での展示とのこと、注目です^^

(teamまめ/前田真紀)