2017年6月28日水曜日

広島県福山市で見つけた絶滅危惧種のお好み焼き店

山陽新幹線に乗ると、岡山と尾道の間で、ひょっこりお城が顔をのぞかせる駅を覚えているだろうか。
それが、福山駅。岡山にほど近いけど、広島県だ。

もともと、豊臣秀吉子飼いの福島正則所領となり、徳川政権となってからは、譜代大名の水野勝成が築城した、江戸時代最後に建造された城だそうだ。
美しき佇まいながら、園内は自由に出入りでき、福山の人々がのんびりと散歩しているのが印象的だ。


さて、そんな城のすぐそばに、こんな店構えが。



広島といえば、広島焼きだべ? ということで、ふらりふらふらと暖簾をくぐってみたらば、なんということでしょう。
思わず見とれてしまう色香と年季に満ちた店の真ん中には、大きくてピカピカに磨かれた鉄板が鎮座し、女将さんが立つと舞台のよう。
そして客人は、鉄板かぶりつきで、おしゃべりしながら、焼き上がりを待つのだ。


まずはとくと見よ! このラインナップを。


なんて素敵な値段設定でしょうか!
「これでも値上げしたんですよ」と、いうけれど、いやいや嬉しすぎる!

そして、お好み焼きは、広島というより、混ぜて焼く関西風。
そばやうどんを、「入れて」とお願いすれば、+100円で入れてくれる。

焼き上がりを待つ間、何か飲もうかな、と思って見渡すも、メニューが見当たらない。
すると「うちは置いてないんですよ。外に自販機あるから、買っといで」。

聞けば、この「みちぐさ」のような駄菓子屋的なお好み焼き屋が昔は町内に1軒はあったという。けれど、いまや風前の灯火。お好み焼き文化のお膝元でも、小さくて気軽な昔ながらの店は絶滅危惧種だ。
それでも、この店は50年以上も続いていて「古狸ですわ」と、頬をゆるます。

「あとで取りに来るから焼いといて」という、常連のテイクアウトにも応えながら、のんびりじっくりと、焼き上げていく手つきの手際のいいこと。


出来上がりはこちら。そば入りでござい〜。
鰹節の粉もた〜っぷり。

熱々を、小さなコテで切って食べれば、ハフハフのふわふわ。
次回は、缶ビール持参だなと、心に刻むひとときだった。

(teamまめ/佐藤さゆり)