2019年2月21日木曜日

初心者でもたのしめる! 新春歌舞伎のススメ

こんにちは、こんばんは。まめの高橋でございます。

気が付けば新年が明けてから2カ月が過ぎようとしているこの時期ですが、年明けの正月休みに行ってきた新春歌舞伎のお話をしたいと思っております。





 今回、観てきたのは「新春浅草歌舞伎」。公演の30分前に浅草公会堂に着いたのですが、すでに入り口は観客でいっぱい。満員御礼っちゅうやつでした。

尾上松也や坂東巳之助、中村隼人。女形には中村梅丸、坂東新悟などと豪華な俳優陣が、正月にふさわしい華やかな演目で観客を魅了します。

と、かなり通ぶった言い方をしましたが、実は高橋、歌舞伎を観に行ったのは人生3度目。うち1回は仕事の取材で行ったとはいえ、観客としてはド素人です。

そんな歌舞伎初心者でも楽しめるよう、比較的新しめだったり、有名だったりする演目をするのが新春歌舞伎なのだそう。高橋が初めて見たのもまさにこれ。まんまと心を掴まれたわけです。




ちなみに、2部制ですが、それなりに長いので初心者はどちらか片方だけ観るので十分かと思います。今回は午前中の第1部を観劇。演目は以下の3つ。もちろん、毎年演目は変わります。

1 戻駕色相肩(もどりかごいろにあいかた)
2 義賢最期(よしかたさいご)
3 芋掘長者(いもほりちょうじゃ)

歌舞伎を楽しむためのコツは、あらすじと見どころを頭に入れておくこと。

ネタばれ大歓迎。パンフレットを買って筋書きを読みながら観るのもよし。プロレスと同じで、登場人物とその舞台設定を知っておくと、あまり言葉がわからなくても内容が理解できます。



 休憩時間は飲食もできる



1 戻駕色相肩(もどりかごいろにあいかた)



登場人物は3名で、2人の「駕籠かき」と1人の「禿(かむろ)」。
駕籠かきは、駕籠にお客さん乗っけて走る人。禿は芸者の小間使いの娘、もしくは見習いみたいなものです。

舞台は江戸時代の京の紫野。禿を乗せて島原から戻る途中、一服休憩している時の話です。

駕籠かきは上方出身の「浪花の次郎作」と、江戸出身の「吾妻の与四郎」で、彼らが話すのは上方とお江戸のお国自慢。とはいっても、内容は遊郭遊びの文化の違い。駕籠の中の禿も外に呼び出し、廓話に花を咲かせます。

演目は撮影できなかったので高橋の拙い絵で失礼します。

途中、禿が子ども扱いされ「おお、しんき」と発する。「ああ、もう悔しい」というような意味


「上方じゃ、豪勢に遊んでから床に入るが江戸ではどうだい」

「いやいや、江戸っ子はもっぱら鉄砲(食事などせず、すぐに床入りする店)よ」

こんな話を踊りながら表現するわけです。話は下世話ながら、駕籠かきの2人の舞はダイナミック、禿を演じる女形の所作はきれいで、なんとまあ優美。雅なもの観てるなあと思いました。


仲良く舞う3人ですが、やがて次郎作の胸元からは連判状、与四郎からは香炉が落ちてさあ大変。実は次郎作は石川五右衛門で、与四郎は真柴久吉、要は秀吉さまだったとわかります。五右衛門は秀吉さまの首を狙っているものだから、お互い「おのれ曲者!」ってことになるわけです。あわや一触即発となりますが……

というのがあらすじです。この演目は、「しばらく上方にいた大物の役者が江戸に戻った時、江戸側の大物の役者さんと共演するためのごあいさつ舞台」として、作られたものらしいです。「戻駕」っちゅう言葉には、そういう意味合いも含まれているとかいないとか。



2 義賢最期(よしかたさいご)



続いては「源平布引滝(げんぺいぬのびきたき)」という全部で5段ある話のうちの2段目にあたるお話。

源頼朝・義経兄弟の叔父上・木曽先生義賢(きそせんじょうのよしかた)さんのお話で、平家が力を持ち始めた時の話です。義賢は平家に降伏し、表向きは平家に仕えているかたちになっています。

この人、この話で最重要アイテムの「源氏の白旗」を所持し、「いつかこの旗かかげて源氏再興したるからな…」と、密かに熱い気持ちを燃やしている男です。そこへやってきた平家の小間使いの男「折平」。実は彼も源氏の末裔だっちゅうことで仲間になります。



が、その後ほどなくして平清盛からの使者が来訪。「白旗出すか、死んだ兄貴のどくろを踏むか選べ!」と迫ってきます。この要求に憤慨した義賢は、なんと兄ちゃんの頭蓋骨で使者をぶん殴り、最後は切り捨てごめん!


使者も大概だが、義賢もなかなかクレイジー。よっぽど腹に据えかねたのだろうけれど……


かくして反逆者となった義賢のもとに平家の軍勢がやってきて、屋敷内は大乱戦。奮戦するも、義賢は力尽きてしまう。というお話です。


この演目は、義賢を始めとした演者たちの大立ち回りが見どころ。物語が進むにつれ激しくなっていきます。高い所から落ちたり、階段を頭からすべり落ちたり、歌舞伎役者の身体能力の高さに驚愕! 

前半部分の物語は登場人物が多くてわかりにくいところはあれど、「どくろ踏めよ」って言う使者が出て来るころにはなんとなくわかってくるので大丈夫!……のはず。


3 芋掘長者(いもほりちょうじゃ)



この演目は単純明快。美しい姫さま「縁御前」の婿選びの話です。縁御前さま、舞を観るのがたいそう大好きで「踊りが上手な人を旦那にします」と言い、婿候補を募ります。



ちなみに、縁御前は自分自身で踊るのも大好き


各地から集った踊り自慢のなかに、一人だけ自信なさげな男が。この人が主人公の「芋掘藤五郎」です。芋を掘るのはうまいけれど、踊りなんぞはからっきし。だけれど縁御前のことは大好きな純朴男子です。そんな藤五郎の切り札は、付き添いの友人「治六郎」。舞踊が達者な彼に面をかぶってもらい、代わりに踊ってもらうという作戦です。この治六郎。また、友人思いでとてもいいヤツなんです。

と、あらすじはこれだけ覚えておけばOK。大正時代に書かれた演目ということで、言葉や仕草もわかりやすく、内容もコメディタッチ。会場は笑い声につつまれていました。

歌も楽器も舞台上で演奏され、演者全員で踊ります。正月にふさわしい、華やかな演目で、高橋はこれが一番好きでした。

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と、つらつら書いてきた新春歌舞伎。

1はチュートリアル
2は重たくて長めの話
3は踊りがメインで華やか

あくまで勝手な高橋の感想なのですけれども、新春歌舞伎のパターンってこれかなと思いました。2が、結構頭を使いながら観るような感覚でしたが、3の芋堀長者が軽~い気持ちで見られたので、最終的には幸せな気分で会場を後に。

心残りがあるとすれば、「よろずや!」(役者が出てきたときや、見どころでの「待ってました!」的な掛け声。役者の屋号に由来した呼び方をする)と声を掛けるタイミングがいまいち掴めなかったところ。これをビシッと決められてこそ初心者脱却か、なんて考えている高橋でした。次は歌舞伎座にも挑戦してみたい!


おまけ


せっかく浅草に来たんだから、もひとつ雅なことがしたいと立ち寄ったのが「どぜう飯田屋」。


「どじょう」ではないです。「どぜう」です。オーダーはもちろん「どぜう鍋」。卓にはねぎが置かれていておかわりし放題!

どぜうは骨ばかりのイメージだったのですが、思っていたより肉厚で、脂が多いなと感じました。醤油香る甘辛い出汁が染み込んでいて乙な味。最後にごはんと卵を頼んで雑炊にすればもっ最高!

どぜう飯田屋
東京都台東区西浅草3-3-2
03-3843-0881

(teamまめ 高橋健太)