2014年3月27日木曜日

三年経った南三陸から南相馬へ。その2〜南三陸〜

 宮城県南三陸町は漁業の町だ。3月末まで出荷が続くふくよかな養殖カキに、しゃぶしゃぶしたらポン酢をかけるだけで肉厚で歯触りがたまらんワカメは今が最盛期。4年目に入る今年には、発祥の地ならではの味「銀鮭」やホヤの出荷も始まるそうだ。
これが採れたての南三陸ワカメ。
一度食べると、ワカメの旨味に驚愕する!
 風光明媚な景色を望む場所に民宿「下道荘」がある。志津川袖浜地区は、震災前まで10軒の民宿が立ち並び、豊かな海の恵を食べ、夏の海水浴でにぎわっていたという。しかし、8軒が被災。もう1軒は後継者がいないこともあって再開を断念し、高台移転を果たして営業を再開できたのはここだけだ。

 まだまだ仮設住宅に暮らす人が多い地区。それゆえに、住民たちの行動範囲は狭まり、以前のような気持ちの通じ合う仲を続けることが難しくなっていると、ご主人の菅原さんは嘆く。それでも「自立の準備段階に入ってきている気がするんです」と前を見据える。「カキもワカメもそろそろ終わりの時期ですけど、春は毛ガニ(ツクモガニ)が捕れて、これのミソがうまいんですよ」と、顔をほころばせた。
下道荘から望む志津川袖浜はため息もれる美しさ

「俺たち、若者の力でこれから千年続く祭りを作りたいんですよ」
と、頼もしい言葉を放つのは、31〜32才の若手主導の「ふっこう青年会」を立ち上げた工藤大樹さん。仲間や顔見知りが各地に散って暮らすなか「でっかい祭りや、楽しみな祭りがあれば、それをきっかけに町に顔を見せると思うんですよ」と期待に胸をふくらます。
 
 南三陸には小さな神社が点在し、神輿、山車、竜が踊りながら練り歩くなど、それぞれが独自の伝統芸能文化を育んでいた。「モノも人も失くしたけれど、年寄り衆に聞いたりしながら俺たちが覚えて、全部まとめたでっかい祭りができたらいいですよね」と笑う。
 
 でっかい祭りにはまだ至らないが、手始めに町のみんなが楽しめるイベントはすでに勢力的に行っている。「もともと復興市の手伝いからはじまったんですが、やっぱりお祭りは楽しいですから」と、ローションを塗ったボールで戦う“ぬるぬるドッチボール”や、最新歌謡曲で踊る盆踊りなどを企画・主催。イベントを通じて若手に活力が戻り、交流が増えた事で、長老衆も何かと協力してくれるようになったという。

「とりあえずやってみる。勉強もして、どんどんアイデアを出して議論して、行政にも関わっていきたいですね。新しい町が出来上がってしまう前に、町をちゃんと作っていきたいんです。これからを担う子どもたちのためにも」。

 まだまだ埋もれている若手を引き込みつつ、育成していくことで、町自体をも活性化させようと、工藤さんは意欲を燃やしている。


(佐藤さゆり/teamまめ)


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