西武池袋線江古田駅の真ん前にある「江古田 浅間神社」。かれこれ2カ月ほど前、大きな欅の木に誘われて立ち寄った。お参りして顔を上げたとき、なんだか拝殿後ろが気になった。なんかある!? 興味津々進んでみると富士塚だった。ほほぉ〜こんな駅前に富士塚! よっしゃ、登ってみようと近寄ると、「富士塚に登山できる期間」の立て札が。
1年のうち、たった5日しか登山できる日がないという富士塚。
こりゃ山開きに絶対来るぞ! と誓ったのだった。
そして、待ってましたの7月1日。今や時の山となり世界中から注目を集めている本家本元と同じ日に山開き。朝9時。宮司さんや総代のみなさんが揃っての神事の後、登山口のゲードが開かれた。富士山同様、昔は白装束姿で登山する人が多かったけれど、今は、スカートにサンダルの女子大生、ビーチサンダルの子どもたち、赤ちゃんを抱っこした人、仕事途中のスーツ姿の人も、みんなが山頂を目指して登る。あっちの富士山では御法度の格好でも、ご近所の富士塚だもの、オッケーオッケー。その気軽さが富士塚の魅力。もちろん、リュック姿の人も大勢いらっしゃった。
かつてはあたり一面、茅がしげる原っぱだったそうで「茅原浅間神社」という呼称もある。
1915年(大正4)に、西武池袋線が開通する前までは、線路のずっーと南まで参道が伸びていたそうだ。
めざす富士塚は、高さ8m直径30m。都内におよそ60ある富士塚でも有数の規模。本家の富士山の溶岩も使われていて、国の重要有形民俗文化財に指定されている。火気厳禁はもちろん、草も摘まない、石も取らない、登山道を乱さず一歩一歩ていねいに歩くことを心して、いざ。おっと、準備体操を忘れたけど、ま、いいか。
1合目ではお猿さんがお出迎え。見上げると、さすがに山開き、かなりの人出。
1合目から9合目まで。箱根登山鉄道のスイッチバックさながらのジグザク道もあって、楽しい〜。
矢印の案内通り登る。足もと、こりゃヒールじゃキツイでしょという箇所も。溶岩怪獣にも遭遇(右下)。
じゃーん! 山頂でござい。奥の院にお参り。登らせていただきありがとうございます!
山頂から下界を望む。高さ8mを実感。次から次へ登ってくる人がいるので、即、下山。
下山途中、天狗さんにもごあいさつ。右下は修行の滝か?
山開きの1日、例年よりも2割ほど多い400人もの人が登山したと、富士塚を管理する川田さん。塚を守って、ていねいに日々管理をなさっている方だ。富士塚にいわれについて、「創建はわからないのですが、931年の6月に降るはずのない雪が降って、ここにあった丘がきれいな雪化粧となったそうです。その姿が富士山に似ていると思った村の人が登ってみたら、山頂に不思議な石があって、その石を崇拝したのがはじまりといわれています」と教えてくださった。遠い遠い昔の人の富士山への思い、、、。
川田さんに「富士山には登ったことがありますか?」とたずねられた。首を横に振ると、
「ぜひとも登ってください。混んでいるし、山小屋の宿泊はちょっと大変かもしれません。いろんな人がいて、いびきやおならの音で眠れないです。でも、一度は、ぜひ!!」と強くおすすめされた。「はい、一度はぜひ!」と約束をして、江古田を後にした。
登山の後はビールでしょ。ビールを求めてうろうろしていたら、なんだかやたら富士山が目についてしかたない。そして、その富士たちが、手招きしてくるではないか!
富士そばの富士山もり
立ち食い天丼、700円。
パーラーならビールあるか? 振り向いたら
パチンコ&スロットだった。
山の体力には肉重要と、80歳の三浦Y氏も、、
富士に翻弄されつつ、結局地元に戻って、
「インド富士」にて生ビール。こちらの富士は、火曜日閉山なり。
ああ、しばらく「富士」の看板を追いかけてしまいそう。
(松井一恵/teamまめ)
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