雨、雨、雨。雨に翻弄された短い秋でした。
振り返ると、今夏もまた、行く先々で、雨、雨、雨だったなあ。
絶対晴れてくれなきゃ困るという、お山でも、やられました。
もともとの「雨女」に加え、確実に降るという天気図となれば、あきらめも早い。
「いや〜、今日は山は無理でしょう。あきらめて、温泉三昧しましょうよ」
願ってもない提案に、急にテンションが上がる。
山ではあきらめ、というか、きっぱりと方向転換するって大切。
それならば! ロケ部隊、誰もが気になっているお湯へ行こうではないか。
晴れている時は気になりつつも、いつもはお山が目的なので、
素通りするしかないお湯だ。
「トンネルの手前の、ほったて小屋の、あやしい温泉」
「卜伝の湯」(とでんではなく、ぼくでんと読む)
建物は簡素で、川辺にへばりつくように立っている。
ここから3キロ先にある「中の湯温泉旅館」が所有している、いわば、離れの湯で、
旅館の宿泊客が送迎バスで入りにくるというが、あんまり来ている様子はない?
すぐ近くの売店兼食堂が受付を担当していて、お金を払い鍵を開けてもらうシステム。
1人700円で、完全貸切の温泉だ。
駐車場はないけれど、売店兼食堂の前に車を寄せてOK。
おじさんに料金を支払って、ほったて小屋までおじさんのあとをついていき、
鍵を開けてもらって、いざ、中へ!
入ると薄暗い脱衣所。温泉のにおいというより、カビっぽいにおいが充満する中
服をバサバサと脱いで、じめっとする空気を進むとこの扉が立ちはだかる。
恐る恐る、扉を開けると〜
(お湯までのアプローチはちょっとある)
洞窟のような、鍾乳洞のような、卜伝の湯!
湯色は、薄暗い褐色とグレーの間のような色で、ぬるめ。
外は雨なので雨の音と、川の流れる音が、ゴーゴージャバジャバ怖いほどだが
中は、シーンと静まり返って、これもまた怖いほど。
「湯の中の白いものは湯の花。ゴミではありません」
と、あったが、湯の花はほんの少し。
「雨の日は雨もりします。しずくが当たると冷たいので、注意してください」
と、あったが、たしかに冷たかった。
「扉は必ず御閉め下さい」
とあったが、たしかに閉じないと、浴槽の湿気が脱衣所に流れてジメジメ。
お湯がいいかどうかは、棚に上げて、
30分700円でも立ち寄ってよかったと思わせる、突っ込みどころ満載。
もしも、上高地界隈で、雨でどうしようもなくなったら、
卜伝の湯を思い出してたもう!
(team まめ 松井一恵)