「じゅん先生」とは、私がひそかに尊敬してやまないみうらじゅん氏のことである。
勝手ながら、敬愛の念を込めてそう呼ばせていただく。
注意:もちろん、まだご存命です。 |
今では誰もが当たり前のように使う「マイブーム」や「ゆるキャラ」という言葉、実はその名付け親はじゅん先生だ。
なんともわかり易くて、それでいてキャッチー。
その卓越したセンスに惚れ惚れしてしまうのだ。
さらには、「嫌」+「土産物」=「いやげ物」という言葉も生みだした。
先月、渋谷のパルコミュージアムで「国宝みうらじゅん いやげ物展」という展示が行われていたので、重い腰を上げて久しぶりに渋谷へと出掛けてみた。
この展示自体はすでに終了しているのだが、とてもインパクトがあったので、今回この場を借りて紹介したい。
入園料500円を支払い、入口を進むとまず「いやげ物」についての細かい定義が説明されていた。
「土産物とは、そもそも買った者も貰った者も大喜びする前提で作られるべきものなのですが、どうもイマイチ。
いや、それどころか“一体、誰が買うんだろう?”と店先で疑問を投げかけてくるものがあります。
それがすなわち『いやげ物』であって、私は何十年にも渡り日本各地を回って集めてきました。」
とのこと。
一見ネガティブな印象だが、展示を見ていやげ物がもつパワーに脱帽した。
では早速、じゅん先生のいやげ物コレクションの一部を紹介。
まずは「フィギュ和」。
その土地その土地の祭りや踊りなどをモチーフにした和の人形たち。
昭和の香りをプンプン放っている。
海洋堂が製作するような現代の精巧なフィギュアには程遠いのだが、どれも主張が強くて一体一体に目が釘付けになった。
あまちゃんブーム前から海女ブームだったというじゅん先生。 |
次に「カスハガ」。
「カスのような絵葉書」という意味で、なぜこの瞬間を採用したんだ!? と思うような理解に苦しむものばかり。
おしりが浮いている……。どういうシチュエーションなの? |
そして、「ヘンジク」。
「変すぎる掛け軸」という意味らしく、昔はこういう土産物あったあったと懐かしくもあるが、実際に部屋に飾ってあったらドン引きである。
シャ乱Qのヘンジクに思わず笑ってしまった。 |
さらには、「ゆるキャラ」。
こんなにもゆるキャラ人形がグッズとして世の中に出ていたことに驚きだ。
さらにさらに、「甘えた坊主」。
どうして眠っているのか、どうしてうっすらアイシャドーや口紅をしているのか、謎が謎を呼ぶ。
まつ毛もクリンと長くて、ちょっとセクシーなのが特徴。 |
さらにさらにさらに、「ひょうたん君」に「ヤシやん」。
大きくてかさ張るサイズ感が現代とは逆行した一品。
何故これを作ってしまったのか、ぜひとも作った方に取材を申し込みたいぐらいだ。
強烈なひょうたん君。 |
「ヤシやん」って名前がぴったりな愛嬌のある顔立ち。 |
そのほかに、こんなものも。
芸能人などをモチーフにした人形 |
テレカ |
ペナント |
結局、娘と出掛けたので1時間半ほどでその場を後にした。
こちらでは紹介しきれないオモシロ土産がまだまだあって、とても1時間半では回りきれない内容だった。
全部でなんと2000点も展示されていたそうだが、それでもじゅん先生のコレクションの一部らしい。
個人的な感想としては、いやげ物は確かに「なんだこりゃ?」というツッコミどころ満載なものの、どこか懐かしく、そして温かみのあるものばかりだった。
どれもユーモラスで、ひとつひとつが生きているかのような圧倒的な存在感がある。
それに比べて、最近の土産物はデザイン性に富んでいてスタイリッシュでカッコイイのだが、どれも同じような印象だし、あまり温度を感じない。
いつの間にこのテの土産物はなくなってしまったのだろうか?
もはや絶滅危惧種であり、「国宝」級のレア品だ。
いやげ物の世界観にすっかり魅了されたことは言うまでもない。
もう一度やってくれないかなぁ、この展示。
(teamまめ/香取麻衣子)