すっかりその二つにお株を奪われておりますが、
実はもうひとつ焼きものの里があるんですよ。
そこは、愛知県の高浜市。
焼きものといっても、生活雑器、土管、壺などではござんせん。
ここの焼きものは粘土を捏ねて、焼成した瓦。
灰色の昔ながらの瓦屋根が建ち並ぶ、瓦の町なんですね。
高浜は名古屋の南東に位置した南三河にある、三州(三河)瓦の里でして、
日本三大瓦(他は島根県の石州、兵庫県・淡路)のひとつ。
江戸中期から盛んに瓦が生産されて、今も日本最大の生産量をも誇っているんです。
すごいんです。
ちなみに、市内で新たなに瓦屋根を葺くときには助成金が出るほど、
今も町のみんなで、瓦を盛りたてているんだそうです。
愛知県出身者のわたくしめ、恥ずかしながらまったく知りませんでした。
で、瓦の町ですから、鬼瓦だって健在なんです。
鬼瓦ってのは、屋根の雨仕舞いを兼ねた装飾瓦のことでございます。
だいたいが鬼の形相をしておりまして、魔除けの意味もあったりするそうな。
だからって駅前からして、インパクト大すぎます。
名鉄三河線の高浜港駅を下車すると、出迎えるのがこの、巨大な古代鬼面。
高さ、幅ともに約4mと、日本一大きい鬼のツラでございます。
間違いなく、魔物は退散しそうです。
駅前の「ニコニコ広場」に鎮座して、これによじ登ったりすることもできるそうです。
鬼は地元の子どもたちにはやさしいんでしょうか。
とはいえ夏の太陽が照りつけて、小心者のあたくし、触れることすらできませんでしたが。
さてさて駅前から、鬼みち散策路へと入っていきましょう。
ふふふ。一見、普通の路地に見えるでしょ?
ところが。
小径を歩いていくと、こんな鬼瓦たちが出てくる出てくる。
怒ってるヤツ、笑ってるヤツ、とぼけてるヤツと、表情多彩です。
一応、皆さま、椅子でございますのよ。鬼を尻に敷く快感が味わえます。
え!? まさるさん? |
宇宙人? ツチノコ?
いやはや、鬼瓦・・・なんですよね。こやつらも。
公園やら散策路やら、いたるところで出会えます。
ほいでもってこれら全部、れっきとした鬼がわら職人の手によるものでございますよー。
鬼みちをたどれば、かわら美術館に辿りつきます。
美術館では、陶芸体験や絵付け体験もできるそうな。
ちなみに、わたくしめがゲットしたものはこれ。
駅近くの鬼みち案内所で見つけたものでございます。
「鬼みちぃ~? しょぼいでしょぉ~」
「えぇ~~、こんなの欲しいの~~~」
案内所にいた地元っ子は笑ってましたが、なにがなにが。
地元では当たり前すぎる光景かもしれませんが、
土管の坂や、寺社の飾り瓦など、みどころはたらふく潜んでいます。
なかなか味わい深い散策路でござんすよ。
(佐藤さゆり/teamまめ)